1. 災害エスノグラフィーの目的
  2. 災害対応における暗黙知の重要性
  3. 災害エスノグラフィーの調査方法
  4. 調査における留意点
  5. 災害エスノグラフィーの調査実例
 
 
 
 
 

3.災害エスノグラフィーの調査方法

災害エスノグラフィーの調査の方法は、基本的にはインタビューあるいはグループディスカッションです。西宮市水道局、神戸市消防局などの組織がへてきた災害のプロセス、あるいは被災者、市長、県知事という個々人がへてきた災害過程をインタビューやグループディスカッションを通して明らかにしていきます。ただし、これはあくまでも一つのケーススタディです。ですから、それを聞いていったい何を残すべき知恵とするのかというところは、我々研究者側の資質や能力に非常に大きく左右されます。極端な話、そういうことを教訓として残しても、それはあなたの単なる思い込みで、それがほかのケースにも対応できる、普遍化できる知識とは限らないという意見も当然出てきます。そこで、そういう問題点を極力避けるためにエスノグラフィーの体系化、個々のケースからそれを普遍化できるものへと変えていく作業をするわけです。このときにはいろいろな立場の人がいます。土木、建築、理学、社会心理学もいれば、お医者さん、看護婦さん、ボランティアの人、行政マンもいます。金融業にかかわる方もいれば、商店街の方もいます。いろいろな専門や立場の違った方たちの多様な視点からいったい何が普遍化できる知恵、事実なのか、それを抽出しなおします。非常に特異な事例も切り捨てることなく、きちんと残していきます。

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