1. 災害エスノグラフィーの目的
  2. 災害対応における暗黙知の重要性
  3. 災害エスノグラフィーの調査方法
  4. 調査における留意点
  5. 災害エスノグラフィーの調査実例
 
 
 
 
 

1.災害エノグラフィーの目的

「災害エスノグラフィー」とは、災害対応にかかわる知恵の体系化に関する研究です。知恵のソースは、災害に居合わせた方たちの体験そのものです。我々はそれをいただいて、教訓やいろいろな現場にいなければわからない方たちの知識を体系化するという作業を行います。

災害は毎回違ったかたちで起きます。その現場に居合わせた人は、初めて体験する、思ってもみなかったような異文化に直面します。我々もマスコミや調査研究を通して過去の災害を知っているつもりになっていますが、知っているのはごく一部の形式知だけで、災害現場に居合わせた人たちが何を見、何を聞き、何を考えて、何を決めていったのか、その災害のプロセス自体をきちんと理解しているわけではありません。

我々は災害現場に居合わせた人たちの話を聞いたうえでそれらを体系化していきます。例えば災害対応、水、避難所、生活再建など、いろいろな項目ごとに災害という文化を再構築し、災害現場に居合わせた方たちの視点から災害現場をもう一度描き直す、最後には、その場に居合わせなかった人々が、災害とはどういう文化なのか、何が起きるのか、それを追体験、共有化できるようなかたちに個々の体験を組み立てて翻訳していく、それを災害エスノグラフィー調査の目的にしています。

 
次へ